ダイス・ロッド式摩擦サイドブロック
概要
近年の大規模地震では、「各個撃破」が原因とされる支承サイドブロックの取付けボルトの破断やサイドブロック本体の脱落などといった被害が多数報告されています。破損したサイドブロックが高架下に落下すると第三者被害を引き起こす恐れがあり、これらのリスクを早急に回避する対策が必要となります。
そこで、当社の保有技術であるダイス・ロッド式摩擦ダンパーの摩擦機構と同様に、ダイス(環)とロッド(芯棒)の接触面に発生する摩擦力を利用した「各個撃破」を回避できる耐震部材として『ダイス・ロッド式摩擦サイドブロック』を首都高速道路株式会社と共同開発しました。
工法イメージ(左)、ダイス・ロッド式摩擦サイドブロック(右)
特徴
1. 摩擦力を利用した耐震部材
所定の摩擦力に達すると摩擦機構が稼働し、大きな変位まで一定の摩擦力を保持します。すなわち、摩擦力を取付けボルトの破断荷重未満に設定することで、摩擦機構が荷重リミッターとして働くため、取付けボルトの破断を回避することが出来ます。
摩擦機構
サイドブロックの骨格曲線
(荷重―変位関係)
2. 地震時の「各個撃破」を回避
従来のサイドブロックでは、最も隙間の小さいサイドブロック一つに全ての慣性力が集中し破壊され、反力を負担できなくなるため、続いて2番目に隙間の小さいサイドブロックに全ての慣性力が集中し、破壊されます。つまり、「各個撃破」とは、上部工との隙間が小さいサイドブロックから順にドミノ倒しのように、個別に破壊される現象を指します。
一方、摩擦サイドブロックでは、最も隙間の小さいサイドブロック一つに全ての慣性力が集中しても、摩擦機構が荷重リミッターとして稼働するため、破壊されることなく一定の反力(摩擦力)を保持します。
その後、2番目、3番目と隙間の小さい順に上部工と衝突し、慣性力が分散されます。このように、摩擦サイドブロックを適用することで「各個撃破」を回避し、全てのサイドブロックが均等に反力を負担することができます。
実地震時のサイドブロックの挙動
技術評価
関連論文
- “ダイス・ロッド式摩擦サイドブロック”の防せい防食機能の検証、青木あすなろ建設 技術研究所報第4号(2019)
- 摩擦サイドブロックの環境促進実験による腐食耐久性に関する検討、土木学会第73回年次学術講演概要集第 I 部門(2018)
- 各個撃破を回避する摩擦サイドブロックの開発、土木学会第72回年次学術講演会第 I 部門(2017)
- 各個撃破を回避するダイス・ロッド式摩擦サイドブロックの開発、青木あすなろ建設 技術研究所報第2号(2017)
- 各個撃破を回避するダイス・ロッド式摩擦サイドブロックの開発、コンクリート工学年次論文集Vol.39No.2 (2017)