A. 根巻型、埋込型と違ってコンクリートの中に埋め込まれず、基礎コンクリートにアンカーボルトで結合し、鉄骨柱のベースプレートを補強して、曲げ耐力、剛性を確保する型です。
複合型露出柱脚
概要
複合型露出柱脚は、効率的な地震エネルギーを吸収することを目的として、柱脚部ヒンジを形成するため、アンカーボルト降伏型にベースプレート降伏要素を積極的に取り入れた露出柱脚です。
複合型露出柱脚は2種のアンカーボルトと2種のベースプレートによって構成されており、それぞれに弾性要素と弾塑性要素としての役割を与えることで効率的に地震エネルギーを吸収することが可能となりました。
適用範囲
- RC構造と鉄骨構造の境界に設置
- 角形鋼管、円形鋼管、H形鋼の柱に適用
工法イメージ
2種類のアンカーボルトと2種類のベースプレートで構成
地震時の挙動
厚さの異なるベースプレートで構成することで、地震時の塑性変形箇所を固定する
強さの異なるアンカーボルトで構成することで、地震時の塑性変形箇所を固定する
内アンカーボルトは曲げ剛性を確保し、大地震時に伸び能力を発揮することで、外ベースプレートの塑性変形を促します。
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伸び能力に優れた建築構造用アンカーボルトを使用します。
外アンカーボルトは大地震時に外ベースプレートの塑性変形を発揮させるために固定機能としての役割を果たします。
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塑性変形が生じないように高強度のアンカーボルトを使用します。
実大実験
- 実験時期 : 2017年2月
- 実験場所 : 青木あすなろ建設技術研究所(茨城県つくば市)大型実験棟
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実験装置概要 : 高圧3軸ジャッキシステム (鉛直軸力:+3000kN~-2000kN × 2本)
(水平軸力:±2000kN × 1本)実物大の試験体による性能実験では、複数回の大地震を想定した大変形時の繰り返し加力および被災後の補修を再現し、耐震性能を確認しました。
その結果、耐力低下することなく、耐震性能を保持し継続的に地震エネルギーを吸収することが実証されました。実験装置
加力実験でのプレート変形状況
実験結果
大地震時を想定した柱部材角1/33まで変形した状態において、耐力低下せず地震エネルギーを吸収する特性があることを確認しました。
大地震後の性能を確認するための実験では、変形伸長した内アンカーボルトを締め直した後、柱部材角1/25まで変形した状態においても、補修前と同様に耐力低下せず、エネルギー吸収能力を発揮しました。製品ラインナップ
柱サイズ 内ベースプレート 外ベースプレート 内アンカーボルト 外アンカーボルト 材質 厚さt1
(mm)幅B
(mm)材質 厚さt2
(mm)短辺a
(mm)材質 サイズ 材質 サイズ 250 SN490C 32 550 SS400 16 200 SNR400B M22 SD345 D29 350 TMCP325B 55 600~700 SN400B 25 200~250 ABR490 M30 SD490 D32 550 60 950~1000 32 300~350 ABR490 M42 SD590 D51 ※各寸法は実施設計時に詳細な検討が必要となります
技術評価
受賞・技術登録
- ビューローベリタスジャパン株式会社の建築技術性能証明を取得 第BVJ-PA18-001号(2018)
関連論文
- 複合型露出柱脚のコンパクト形状に関する軸力曲げ耐力相関式の提案、青木あすなろ建設 技術研究所報第7号(2022)
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- 複合型露出柱脚の引張軸力作用時の構造性能に関する実験的研究、日本建築学会2021年度大会[東海]学術講演梗概集構造III(2021)
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- 露出型柱脚を用いた鋼構造骨組の損傷分布特性に関する研究、日本建築学会関東支部研究報告集(2020)
- 複合型露出柱脚のコンパクト型試験体に関する実験的研究、青木あすなろ建設 技術研究所報第5号(2020)
- 複合型露出柱脚の弾塑性要素に関する実験、青木あすなろ建設 技術研究所報第4号(2019)
- 複合型露出柱脚のベースプレート降伏要素に関する実験的研究、日本建築学会大会学術講演梗概集構造III(2019)
- 複合型露出柱脚の降伏機構に関する実験的研究、平成30年度日本大学理工学部学術講演会予稿集B(構造・強度部会)(2018)
- 複合型露出柱脚の設計に用いる曲げ耐力式、日本建築学会大会学術講演梗概集構造III(2018)
- 中低層建物の柱脚部を想定した複合型露出柱脚の実験に関する報告、青木あすなろ建設 技術研究所報第3号(2018)
- 鉄筋コンクリート製基礎を有する複合型露出柱脚の実大検証実験、鋼構造年次論文報告集第 25 巻(2017)
- 複合型露出柱脚の性能確認のための実大実験に関する報告、日本建築学会大会学術講演梗概集構造III(2017)
- 複合型露出柱脚のベースプレート降伏機構を再現した検証実験および設計式の導出、日本建築学会関東支部研究報告集I(2017)
- 2種類の降伏機構を有する複合型露出柱脚の開発、青木あすなろ建設 技術研究所報第2号(2017)
- 2種の降伏機構を有する複合型露出柱脚に関する研究、平成28年度日本大学理工学部学術講演会概要集B(構造・強度部会)(2016)
- 2種類の降伏機構を有する露出型柱脚の強度特性に関する研究、鋼構造年次論文報告集第24巻(2016)
- 2種の降伏メカニズムを有する複合型露出柱脚の履歴特性に関する実験的研究、日本建築学会大会学術講演梗概集構造III(2016)
- 複合型露出柱脚の特性に関する実験的研究、日本建築学会関東支部研究報告集I(2016)
よくある質問
Q. 露出型柱脚とは?Q. 地震時にどのような構造的な働きをしますか?A. 在来の露出柱脚と比べ、アンカーボルトが塑性変形した後も外ベースプレートの抵抗力が常に作用します。
熊本地震のような複数回の大地震に対応することができます。Q. 複合型露出柱脚はどのような建物で使用しますか?A. 新築鉄骨建物を対象にしています。
設置位置は1階部分の基礎コンクリート上と鉄骨とRCの中間層でも設置できます。Q. 複合型露出柱脚が適用できる柱は?A. 角形鋼管、円形鋼管、H形鋼のいずれかの柱に適用できます。
Q. 複合型露出柱脚を用いた建築物の設計に協力してもらえますか?A. 設計協力しますのでご相談ください。
Q. 第三者機関の技術評価は取得していますか?A. 2018年10月31日に構造安全性能が確保されていることを証明する建築技術性能証明書を取得しています。
複合型露出柱脚のトピックス
2019.07.122018.10.312017.09.012017.05.122017.02.03