床CCB-NAC工法の建築技術性能証明を取得 ~構造スラブのコンクリートの増し打ち不要での目地設置が可能にする 本工法の活用が一層加速へ~

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 青木あすなろ建設株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:望月尚幸)が参加する、鉄筋挿入型ひび割れ制御工法協会※1(以下、CCB工法協会)[会長:松井亮夫(株式会社淺沼組所属)]内に設立した工法研究会※2(代表会社:株式会社淺沼組)の13社は、異形鉄筋を用いるひび割れ誘発目地付床スラブ構法(床CCB-NAC工法:写真1、2参照)(以下、本工法)について、2025年12月23日付けで、一般財団法人日本建築総合試験所の建築技術性能証明※3(第25-32号)を取得しました。

 本工法は、鉄筋コンクリート造スラブの表面に誘発目地として鉛直方向のカッター目地、ひび割れ誘発材(以下、誘発材)および目地平行スラブ筋を一直線上に配置して誘導効果を高めつつ、床スラブの耐力を目地部以外の床部分の全スラブ厚さを用いて、既往の設計式で評価できる工法です。今般の建築技術性能証明の取得により、本工法の実建物への適用が一層進むことが期待され、構造安全性を担保しながら高品質な建築物の構築、および増し打ちコンクリートの削減による環境負荷低減が見込まれます。

 

■床CCB-NAC工法概要(図1~3・表1参照)
床CCB-NAC(Crack Control Bar-No Additional Concrete)工法とは、鉄筋コンクリート造スラブの収縮ひび割れ発生位置を制御する工法で、高い確率で目地内へひび割れを誘導させると同時に、目地部以外のスラブ表面にひび割れをほとんど発生させないことを可能とするものです。

目地位置でのコンクリートの比率を減らす手段として、目地に沿って目地平行スラブ筋と太径異形鉄筋の誘発材を一直線上に配置します。このたび、構造スラブの耐力算定時に目地底寸法としていた従来の目地を設ける方法の問題点を解決し、目地深さ厚の増し打ちコンクリートを不要にできるメリットがあります。

 

〇技術の特徴

  • 床CCB-NAC工法を用いた構造スラブの耐力は、スラブ厚を目地底寸法ではなく全スラブ厚として評価できるため、従来は必要であった目地深さ厚の増し打ちコンクリートを不要にできます。
  • 総断面欠損率25~30%程度を確保することで、目地内に高い確率で収縮ひび割れが誘導できるという多くの施工実績があり、スラブの美観性や使用性を損ないません。
  • コンクリートとの付着性状が良好な表面処理を施さないJISの規格品の異形棒鋼を誘発材に用いるため、品質や耐久性等に関する懸念がありません。
  • 専用の誘発材固定ジグを使用することで、簡易ながらも精度の高い施工が可能です。
  • 鉄筋工による一連の作業の中で誘発材の取り付けが可能であり、類似工法と比較して作業効率に優れ、対策費用が安価です。
  • 目地の角欠けを防止できる充填材として、圧縮強度や接着力、陥没抵抗性およびひび割れ分散性を有するPRS(Porous Resin Sand)の適用を推奨しています(写真3~5)。本材料は、(一財)日本建築総合試験所の建設材料技術性能証明「GBRC材料証明第22-01号」を取得しています。

■性能証明内容
 建築技術性能証明:床CCBNAC工法 GBRC 性能証明 2532
 申込者が提案する「床CCB-NAC工法 設計・施工指針」に従って設計・施工されたひび割れ誘発目地付床スラブは、目地無しの床スラブと同等の構造性能を有し、床スラブの耐力を目地部以外の床部分のスラブ厚さを用いて既往の設計式で評価できる。

〇適用スラブ:鉄筋コンクリート造、鉄骨造および鉄骨鉄筋コンクリート造建物の鉄筋コンクリート造スラブ、デッキスラブ(QLデッキ等の合成スラブを除く)、土型枠スラブ、ハーフ PCa スラブとする。なお、いずれのスラブ形式もボイドスラブは除く。

■今後の展開
 CCB工法協会では、CCB工法を適用する作業所に、本工法を十分理解していると協会が認定したCCB工法施工管理技術者による施工指導を義務付けています。CCB 工法施工管理技術者の称号は、本工法協会が実施する講習会を受講(5年毎に更新)し、さらに試験によって相応レベルの工法の知識・技術を保有していると認定された者に与えられます(2026年2月現在、672名が登録)。本工法を適用する作業所においては、施工管理者を選任し、本工法を十分理解して施工管理を行うこととなります。
 2017年以降、30物件を超える物流倉庫や工場等の土間床に対して床CCB工法を適用し、目地内にひび割れを制御してきました。しかしながら、構造スラブに対しては、梁上補強筋の設置や膨張材の添加、湿潤養生の徹底等のひび割れ抑制対策に留まるのが一般的で、竣工時点でスラブ表面に多くのひび割れが散見されることがありました。このたび、第三者評価機関による建築技術性能証明が取得できたこと、また実物件をモデルにした試算において、従来のひび割れ抑制対策よりも本工法による対策コストのほうが低減できる結果が得られましたことから、構造スラブに対して増し打ちなしで目地が設置できる本工法の実建物への適用の加速が期待されています。本工法を用いて構造安全性を担保しながら、高品質な建築物の構築および増し打ちコンクリートの削減による環境負荷低減に努めてまいります。

以上

■記事に関するお問合せ先
CCB 工法協会 事務局
所在地 : 〒569-0034 大阪府高槻市大塚町3-24-1 ㈱淺沼組本社技術研究所内
TEL  : 072-661-1620 事務局長:河合智寛

※1 鉄筋挿入型ひび割れ制御工法協会 http://ccb-koho.com/
鉄筋挿入型ひび割れ制御工法協会(略称:CCB工法協会)は、CCB工法の普及、技術の向上ならびにその健全なる発展を図ることを目的として、2012年4月1日に設立しました(2026年2月現在、正会員19社、施工実績377件)。

※2 床CCB-NAC工法研究会
CCB工法協会内に設置された工法研究会で、2026年2月現在、正会員13社が参加。
株式会社淺沼組、株式会社熊谷組、西松建設株式会社、東亜建設工業株式会社、株式会社NIPPO、 飛島建設株式会社、大日本土木株式会社、株式会社長谷工コーポレーション、五洋建設株式会社、 三井住友建設株式会社、共立建設株式会社、青木あすなろ建設株式会社、松尾建設株式会社

※3 建築技術性能証明
(一財)日本建築総合試験所HP/建築技術性能証明
https://www.gbrc.or.jp/assets/documents/center/gijyutu_ninsho_pdf/gbrcat_25-32.pdf

【参考資料】

参考①:開発の経緯

鉄筋コンクリート造スラブは、コンクリートの材料特性である乾燥収縮や周辺部材による拘束等の影響により、表面にひび割れが発生します。ひび割れの発生により、スラブの美観性に加え、建物使用性やコンクリートの耐久性に影響する可能性があり、これらを解消するため、スラブにひび割れ誘発目地を設ける方法が一般に行われています。この従来の目地を設ける方法は、スラブ表面に設けた誘発目地内に収縮ひび割れを発生させて、そのひび割れを適切に処置することにより、スラブの美観性や使用性、耐久性等を損なわないようにするものです。しかし、従来の目地を設ける方法は、スラブのコンクリート表面に適当な深さの目地を形成し、コンクリートを欠き込むだけのため、目地部は他のスラブ断面と比べて脆弱になると考えられています。そのため、構造スラブの設計に用いられるスラブ厚は、全スラブ厚から目地深さを減じた寸法としています。よって、実施工においては、スラブ表面に目地を設ける場合は、その目地深さ厚のコンクリートの増し打ちを行うのが一般的です。しかしながら、スラブ表面に目地を設けるだけでは断面欠損率が少なく、期待しているように目地内にひび割れが入らないのが実情です。

そこで本工法では、誘発材を目地断面中央に配置することで、目地部のスラブ厚さ方向のコンクリート断面の全スラブ厚に対する総断面欠損率(非コンクリート率)を増大することができます。つまり、目地部に配置する目地平行スラブ筋と誘発材をコンクリートと置き換えることで、全スラブ厚に対するコンクリート厚の寸法比率が大幅に下がり、目地部近傍のコンクリートに応力を集中させることで、ひび割れ誘発を促すことができます。誘発材は、周辺コンクリートとの付着を遮断する措置を行うものではなく、異形鉄筋と同様に周辺コンクリートとの付着性能を有し、従来の鉄筋コンクリート構造体と同様に周辺コンクリートと誘発材は一体化しています。以上により、目地平行スラブ筋や誘発材を配置することで、目地の幅3mm、深さ10mmでも高い確率で目地内にひび割れを誘導でき、また適切な大きさの目地を設けて目地底付近のコンクリートの応力上昇を誘発させることで、応力の流れをコントロールすることが可能となり、その結果、構造性能は低下しないことを証明しました。なお、本工法は、京都大学の西山峰広名誉教授および谷昌典教授、山田諒助教のご協力を得て開発を進めてきました。

 

参考②:床CCB-NAC工法仕様

 

〇使用材料

・コンクリート 種類:普通コンクリート
設計基準強度:21N/mm² 以上、45N/mm² 以下
・鉄筋 スラブ筋、誘発材、種類:SD295、SD345、SD390(JIS G-3112)
・固定ジグ CCB 工法協会が指定する専用ジグ(岡部㈱製)

 

〇構造規定

・大梁上中央部(RC梁の場合は梁幅両側)およびスパン内に、カッター目地、誘発材と目地平行スラブ筋を一直線上に配置する。
・スラブ厚さ 180mm 以上、400mm 以下
・スラブ筋量 全断面に対し 0.2% 以上
・引張鉄筋量 0.5% 以下
・目地 幅 3mm、深さ 10mm(施工誤差 ±2.5mm)
・目地位置 4~6mm間隔とし大梁上および大梁スパン内に田の字方向に配置
・総断面欠損率 全スラブ厚に対し原則として 25% 以上
・誘発材率 目地底高さに対する誘発材の呼び径の合計の割合は15%以下

 

〇設計者および監理者
 本工法の設計・監理は、CCB工法協会工法研究員、またはCCB工法協会工法研究員から技術指導を受けた一級建築士事務所が行います。

 

〇施工者
 本工法の施工は、CCB工法協会工法研究員、またはCCB工法協会工法研究員から技術指導を受けた施工会社が行います。なお、会員種別には、正会員と物件限定会員があります。

 

〇関連特許:No.6902125 構造体の接合構造