「折返しプレート式座屈拘束ブレース(FP-BRB®)」を開発 ~従来の同性能ブレースより低コストを実現~
青木あすなろ建設株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:望月 尚幸)、東亜建設工業株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:早川 毅)、株式会社名構設計(本社:愛知県名古屋市、代表取締役:大谷 智德)の3社は、鋼材のみで構成され、特殊な加工や溶接方法を必要とせずに製作できる新たな制振ブレース『折返しプレート式座屈拘束ブレース(FP-BRB ※登録商標第6679723号)』(以下、「本ブレース」)を開発しました。なお、本ブレースは、従来の製品と比較してコストが削減できるとともに、日本ERI株式会社の構造性能評価(ERI-K25001)を取得しています。(特許出願中)
■開発の背景
物流倉庫の建設では、構造形式をブレース付きラーメン構造※1とすることが最もコストを低減できるため、制振ブレースとして、圧縮・引張ともに安定した性能を有する座屈拘束ブレース※2が多く採用されています。(図1)
図1 ブレース付きラーメン構造概要
※1:柱と梁で造るフレーム構造(ラーメン構造)に加えて、対角線に斜めの部材(ブレース)を入れて建物の強度を確保する構造
※2:鋼材ブレースは引張変形には強いが、圧縮変形に弱く限界を迎えると急激に折れ曲がります(座屈)。座屈拘束ブレースは引張変形に強く、圧縮変形を受けた際には鋼管等の座屈拘束材により座屈が拘束され、引張変形と同等の性能を発揮します。
座屈拘束ブレースは、芯材や拘束材の形状・材質・製法など様々な種類が実用化に至っていますが、建設資材価格が上昇している中で、更なるコスト低減を図るべく、新たな制振ブレースの開発に着手しました。
■本ブレースの概要
『折返しプレート式座屈拘束ブレース(Folded Plate Buckling Restrained Brace(FP-BRB))』は、並列に配置した複数の鋼板を直列接合となるように、端部を一筆書きの要領で互いに接合した折返し機構(図2)によって、圧縮材となる鋼板が座屈しようとする力を、隣り合う鋼板(引張材)が押し返す力によって拘束する“座屈拘束効果”を有する新たな制振ブレースです。
図2 ダンパー部の折返し機構概要
本ブレースは、鋼材のみで構成され、特殊な加工や溶接を必要としません。そのため、鉄骨ファブリケーター(鉄骨の製造会社)での製作が可能で、同等の性能を有するメーカー製品と比較してコストの削減が可能となります。
■本ブレースの特長
①鋼材の塑性変形によってエネルギーを吸収するダンパー部と支持材で構成され、主架構とは一般的なボルト接合にて接続できます(図3)。
図3 折返しプレート式座屈拘束ブレース全景パース
写真1 ブレース試験体の外観
②ダンパー部は、断面の異なる9枚の鋼板(芯板1枚、中板6枚、外板2枚)を一筆書きの要領で折返して鋼板の両端部に設けるプレートと互い違いに接合させています(図4)。
図4 ダンパー部詳細パース
写真2 ブレース試験体におけるダンパー部
③鋼板相互の隙間を適切に管理して重ねることで、圧縮力の作用する鋼板の座屈を隣り合う鋼板にて拘束することができます(図5)。
図5 応力伝達および座屈拘束効果の概念図
④ダンパー部の断面積および長さ(折返し位置)を調整することで耐力と剛性を自由に調整することが可能です。
⑤構成部材がすべて鋼材(板)であり、特殊な加工や溶接方法を必要とせずに製作が可能です。
⑥設計の想定を超える変形において急激な耐力低下を起こさないフェールセーフ機構を有しています。
■今後の展開
本ブレースは物流倉庫に限らず、商業施設や事務所ビル等にも採用可能であり、様々な用途に対応できます。
今後は、本ブレースの実物件への適用を推進し、幅広い建築物への活用を目指すとともに、技術の高度化を図ることで、物流倉庫における耐震・制振対策の普及と建設コスト低減による事業継続性の向上に貢献してまいります。
■技術に関するお問い合わせ
青木あすなろ建設 株式会社 建築生産本部 設計部 竹内健一
〒105-0014 東京都港区芝1-15-5 リオテック芝ビル4階
℡ 03(5439)8516
以上