地盤沈下計測システム
概要
土木工事における沈下計測は、沈下板や沈下計が一般的ですが、海上空港のような大規模かつ大深度における海洋埋立工事においては、沈下量も大きく従来技術の応用では対応が難しいため、新しい計測技術が切望されていました。
本システムは、水圧式沈下計を基本とし、導水管に接続した圧力変換器を保護管に挿入し地盤に敷設します。その敷設地盤の沈下と同様に水頭が変化することから、圧力変換器に加わる水圧変化を観測することで、地盤沈下量を知ることが可能になります。また、埋立を開始する前に敷設することで、初期段階から長期間に亘って連続的に沈下量を計測することが可能であり、埋立の進んだ途中の層に追加して敷設すれば、層別沈下量を把握でき、投入土砂の圧縮量を知ることが可能になります。計測は自動的に行われるため、測量工数を削減して、最適な投入計画が可能になります。
特徴
- 高精度な圧力変換器により±0.1%FS(水頭20mで±20mm)の計測精度を実現。
- 特定小電力無線を採用し見通し距離約1kmの信号伝送が可能で、長距離にわたるケーブル敷設が不要。
パソコンと専用ソフトウェアにより自動的に多点の沈下量をリアルタイムに観測。 - 耐久性の高い地中埋設用の硬質合成樹脂管を保護管に用いることで、内部の計測機器を保護。
- 道路や造成工事の沈下計測、構造物の変状観測にも適用可能。
導入実積
海上空港建設工事ほか3件
計測原理
- 安定した場所に、水面レベルを一定に保つ機能を持った基準水槽を設置し、導水管で保護管内の各圧力変換器を連通します。
- 保護管を敷設した地盤が沈下すると、それに伴って水頭がその分大きくなります。
- 水頭が大きくなれば圧力変換器に加わる水圧が大きくなるので、圧力変換器の電気信号出力の差を読み取ることで、沈下量を知ることができます。
沈下量 ⋀WL=WL1-WL0
計測機器
1. 圧力変換器
外径:38mm 、高精度:±0.1%FS
2. 保護管
地中埋設用硬質合成樹脂管(内径約50mm)
3. 導水管
扁平しにくく、折れにくいコイル巻ホース
4. 変換器ケーブル
専用水深ケーブルにより絶縁性を確保
5. データロガー
パソコン、専用ソフトウェア
6. ソーラー電源
(W)136×(H)450×(D)103 , 6V/4.5Ah
計測機器断面
導入事例
計測機器設置状況
計測結果