背景

石油危機以降、我が国の業務部門における最終エネルギー消費量は増加傾向にあり、徹底的な省エネルギーが課題となっています。このような背景から、室内外の環境品質を低下させることなく、大幅な省エネを実現するZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)が注目されています。また、2014年4月に閣議決定された「エネルギー基本計画」において、「建築物については、2020年までに新築公共建築物等で、2030年までに新築建築物での平均でZEBを目指す」とする政策目標が掲げられています。

ZEBとは

ZEBとはNet Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の略称で、「ゼブ」と呼びます。先進的な建築設計によるエネルギー負荷の抑制や自然エネルギーの積極的な活用、高効率な設備システムの導入等により、快適な室内環境を実現しながら、建物で消費する年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロにすることを目指した建物のことです。建物の中では人が活動しているため、建物でのエネルギー消費量を完全にゼロにすることはできませんが、省エネによって使うエネルギーを減らし、創エネによって使う分のエネルギーをつくることで、エネルギー消費量を正味(ネット)でゼロにすることができます。

ZEBの定義
ZEBの定義
出典:経済産業省資源エネルギー庁「平成30年度ZEBロードマップフォローアップ委員会とりまとめ」(平成31年3月)

ZEB普及に向けて

当社では、新築、改修を検討されるお客様にZEB化の優位性を説明し、積極的にZEB化提案を行うことでZEBの普及に努めております。
今後も、ZEBに関わる講習会、見学会等に積極的に参加することでZEB知識のストックを増やし、ZEB設計に活かしていきます。

  • 当社省エネ建築物実績一覧
建物名称(仮称) 都道府県 建物用途 延床面積 階数 竣工年
A整形外科医院 埼玉県 病院 2,267㎡ 地上4階 2018
B社 工場 兵庫県 工場 4,361㎡ 地上2階 2018
C社 工場 兵庫県 工場 5,959㎡ 地上2階 2018
D社 支店 兵庫県 工場 2,373㎡ 地上2階 2018
E耳鼻咽喉科 大阪府 診療所 311㎡ 地上2階 2018
F社 研究施設 千葉県 工場 4,010㎡ 地上6階 2019
Gビル 東京都 事務所 4,744㎡ 地上10階 2019
Hホテル 東京都 ホテル 1,792㎡ 地上13階 2019
I社 工場 和歌山県 工場 1,334㎡ 地上1階 2019
J社 工場 大阪府 工場 4,254㎡ 地上3階 2019
K物流倉庫 埼玉県 倉庫 22,442㎡ 地上3階 2020
L社 工場 大阪府 工場 3,052㎡ 地上2階 2020
M社 店舗 大阪府 店舗 2,600㎡ 地上2階 2020
N社 本社ビル 大阪府 事務所 5,371㎡ 地上10階 2021
O社 工場 和歌山県 工場 2,813㎡ 地上2階 2021

省エネ建築物:BEI(Building Energy Index)が0.9以下相当の建築物。BEIとは、設計した建物の省エネ性能を表す指標で、設計一次エネルギー消費量を建築物省エネ法の告示によって建物の室用途ごとに決められている基準一次エネルギー消費量の総和で除した値。

ZEBプランナー登録

2021年12月に「ZEBプランナー」に登録されました。
 (登録番号:ZEB2021P-00042-PG)

ZEBプランナーとは、一般社団法人環境共創イニシアチブにより定められたもので、「ZEB設計ガイドライン」や「ZEBや省エネ建築物を設計するための技術や設計知見」を活用して、一般に向けて広くZEB実現に向けた相談窓口を有し、業務支援(建築設計、設備設計、設計施工、省エネ設計)を行い、その活動を公表するものです。

ZEBプランナーマークZEBプランナーマーク

出典:一般社団法人環境共創イニシアチブ ホームページ(https://sii.or.jp/zeb03/planner/)

ZEB設計受注目標

2025年度に自社が受注する設計業務のうち、ZEBが占める割合50%以上を目指す。

ZEBプランニング実績

2022年度
ZEB受注実績(ZEB設計業務)
300㎡未満 0件
2,000㎡未満 0件
2,000㎡以上 1件

ZEB評価ツール

開発の背景

ZEBを目指した設計を行う場合、個々の技術を適用した時の、省エネルギー効果を事前に評価することが必要です。
これまで評価に際しては、「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」(以下、建築物省エネ法という)において適合性判定・届出に使用されている「エネルギー消費性能計算プログラム(※1)」が広く使われてきました。
しかしながら、ZEBを目指す設計を行う上でより高度な省エネルギー技術の導入を考えても、評価できる省エネルギー技術の種類に制約がありました。
高度な省エネルギー技術の評価が可能なプログラムは他にも見られますが、限られた設計期間で実務設計者が活用していくには、操作に対する専門知識や利用制限等の課題もあり、ZEBを評価する環境が十分とは言えませんでした。
そこで、高度かつ先進的な省エネルギー技術の設計段階での省エネルギー効果の評価が可能で、かつ、実務設計者が利用しやすいツールの必要性が今後高まることを想定して、「ZEB評価ツール」を開発しました。
本ツールは、当社、五洋建設株式会社、株式会社錢高組、東亜建設工業株式会社、西松建設株式会社、三井住友建設株式会社との共同により開発しました。

特徴

ZEB評価ツールには以下の特徴があります。

  • 空調用一次エネルギー消費量計算には、多くの熱負荷計算のベースに採用され定評のあるHASPプログラム(※2)を採用。
  • ZEBに有効で先進的技術とされる「ダブルスキン」、「自然換気」、「地中熱利用」等の空調の省エネルギー評価が可能。
  • ZEB評価の対象となっている消費設備(空調、換気、照明、給湯、昇降機)について「年間一次エネルギー消費量」の算出が可能。
  • 建築物省エネ法で定められた性能判断基準である「BEI」を算出可能。
  • 複数の設計案の評価結果についてグラフ描画、比較が可能。
  • ZEBの達成度合いを評価できる「ZEBチャート(※3)」の自動描画が可能。

※1 エネルギー消費性能計算プログラム:国土交通省住宅局、国土交通省国土技術政策総合研究所、国立研究開発法人建築研究所、一般社団法人日本サステナブル建築協会が公開し、建築物省エネ法において、適合性判定、届出の際に使用されている設計段階における建物の年間一次エネルギー消費量を算出するプログラム。
※2 HASPプログラム:一般社団法人建築設備技術者協会が提供する建築空間の室温・室湿度や熱負荷を算出するとともに、空調に係るエネルギー消費量を評価することを目的として整備された我が国の代表的な熱負荷・空調システム計算プログラム。

参照:https://www.jabmee.or.jp/hasp/

※3 ZEBチャート出力表示例

「ZEBチャート」出力表示

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